そう。ここは……


幽霊トンネル……!!





…だめ!だめだよ戻って!!


走り寄って彼のパジャマを掴み懇願する。


それでも松林君は足を止めなかった。


『う……あああああぁあ!やめてくれ……頼むから……いたいぃぃぃぃ』


何故か苦しむ松林君にどうする事も出来ず


彼はトンネルへと消えていってしまった…………。


松林君…松林君!!


…助けなきゃ!!


躊躇いはあったけど、彼を救うべく再び私もトンネルに足を踏み入れた。


……はずなのに。


え……!?


ぶわっともやが集まり、私の視界を一瞬で濁らせた。


なにも見えなくなり、浮いてるような感覚を味わう。


なにこれ……消えてよっ!!
松林君を助けなきゃ!!


混乱する私の耳に


『…媛乃』


白いもやの中、誰かの声が響いた。
若い、女の人の声だ。


媛乃?


目を見開く私。


『もうやめてこんな事……』


女の人の声が再び響くと、
打って変わって今度は甲高い女の子の声。


『キャハハハ!ホントはお前は関係ないけど
あいつらに恐怖を与える為に殺してあげる』