「は……?」
恢斗は差し出された携帯を
奪い取ると電源を消し、また入れる。
やはりそこに表示されたのは0:44の文字だった。
「な、なんで………!!!なんでこんな時間が経ってるの!?」
柚姫が大声で叫んだ。
「うそ…」
思わず呟くと
携帯を覗き込み、目を擦ってみる。
何度見直しても
その文字は変わらなくて。
それは決定的な事実を示していた。
うそ……じゃ、じゃあ私達……
今度こそ本当に全身が
凍りついた感覚に襲われた。
それも今日の中で、1番の。
「お、俺達よぉ……零時にトンネルの中にいたんだよ……」
松林君は、私達に会ってからずっと絶やさなかった笑顔とは真反対の表情だった。
「そんな…!だって私達は、11時過ぎにはトンネルの中にいたはず…!
奥まで行かずに戻ってきたんだから!そんな時間が経つわけないじゃないっ!!」
一気にまくし立てると、
はぁはぁと息を荒らげる莉香。
「……ふふ……」
恢斗……!?
いきなり微笑する恢斗にぎょっとする私達。
「…どうやら、もう逃げられないみたいですね…」