『ん…』


ふと冷たいコンクリートの感触を肌で感じ
目をそっと開く。


視界一面に灰色の壁と床が広がる。


あれからどれくらいたったかわからない。


意識が戻った頃には


暗いトンネルらしき所にひとり
取り残されていた。


手足も口も白い布で覆われていて
自由がきかない。


『っ…!?』


何とかしようと出口の方へと
目を向けたけど


そこで信じられない光景を目にしてしまう。


トンネルの入口が灰色の分厚い
コンクリートで埋められていたんだ。


私が転がっているのはその入口のすぐ側で。
奥の方の村の外に繋がっている出口は


長いトンネルの奥にあるから
見えない。


こんな状態で行けるはずがないけれど。


出られないのだと本能が告げる。



助けを呼ぼうとしても


口に詰められてる布が邪魔をする。


せり上がってくる恐怖に
心が悲鳴をあげる。


怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い…!