『おっ…おかあさん…?』


恐る恐る玄関に出てきたあたし。


男達はあたしの方を向くと
ニヤリと笑った。


『よし、捕まえろ!!』


白目を向いて涙を流しこちらを見つめる
動かなくなったお母さん。


床にはいつのまにかおびただしい量の
血液が流れていた。


おかあさんはいったいどうしたの?


『えっ…!?やっやだ……っ離してよ!お母さんっ!?おかあさぁぁぁぁぁぁん!!!』


髪をひっぱられ床を引きずられながら
泣き叫ぶあたしの手足を


10人ほどの男達が布で縛り始める。


なにが起こってるの?


助けてって、そう叫ぶのに
男達は無視して乱暴に私を押さえつける。


『んんっ……!!んんーーー!』


布を口に詰められ、
手足の自由を奪われたあたしは


『こいつは…媛乃は魔女だ!村の為の
生贄にして霊の怒りを鎮めるのだ!』


霊?


その声を最後に、意識を手放した。


これが絶望の始まりだったんだ……。