媛乃の悲痛な心の叫びは
優しい女の人の声に被さった。
『……もういいのよ、媛乃…』
え…!?
私も媛乃も智弘も
突然聞こえた私達以外の声に
驚いたように辺りを見回す。
泣きじゃくる媛乃の
前にどこから現れたのか、
光の粒子が集まっていく。
あ…これって。
私はこの光景を
夢で見た事があると思う。
私だけじゃない、きっと智弘も。
光の粒子は
白いワンピースの女の人……
ではなく少女を作り出した。
少女Ver.は初めて見たが、
これが誰かはすぐに分かった。
『魔莉乃、ちゃん…?』
媛乃と向かい合うようにして
現れた少女の姿の魔莉乃。
魔莉乃は媛乃をそっと抱きしめた。
『悲しい思いをさせてごめんね。
辛い思いをさせてごめんね。
裏切ってごめんね。……大好きよ、媛乃』
