「ありがとう、なんてこっちのセリフだよ
……恢斗ぉ……」
その冷たくなりつつある体に
私は泣きながらすがりついた。
莉香も恢斗もみんな私を守って死んだ。
もう嫌だ…もう……
「恢斗……くそ…くそっ…!!」
智弘もその場で泣き叫ぶ。
血と涙で染まった幽霊トンネル。
もう私達に希望に満ち溢れた明日なんて
ものは無いのかな。
「嫌だぁぁぁぁぁっ…ふたりを…
柚姫を…皆を返してよぉぉお!!」
このやり場のない怒りと悲しみは
誰にぶつければいいんだろう。
「恢斗…今まで、ありがとな…
守れなくて、ごめんなっ……」
智弘は恢斗の伏せられた瞼から
流れる涙をそっと指で拭い
私の肩に手を当てた。
「…澪夜。皆の死を無駄にしちゃ駄目だ。
日記の続きを、読め」
「智弘ぉぉっ…」
私をそっと抱き締めてくれる
智弘の温もりが私の悲しみを
少しずつ溶かしてくれる。
しばらく抱き合ったまま
涙を流して
私はゆっくりと立ち上がった。
しっかりと日記を手に持って。
