『魔莉乃ちゃんから話は聞いたけど…だからって!媛乃はまだ18歳よ!?』


また、魔莉乃ちゃんの名前。


男の足にしがみつくようにして
お母さんが懇願してる。


一昨日18歳になったばかりのあたし。


でもこの会話の内容はなんの事なのか
あたしには見当もつかない。


『…黙れ。魔莉乃様のご決断なんだよ!!
こうしないと村が!ちっ…仕方ねぇなあ』


しびれを切らしたらしい男が
懐からなにかを取り出した。


『ひっ…!』


ソレを見た瞬間、喉から情けない声が出た。


ソレとは


銀色に光る、刃物ーーー



『媛乃っ早く逃げ……ッ!?…あ…あ…いやああああああああああああああああああああっっっっっっっ!!!!』


ザシュッ……グサッ…グチュ……


反射的に目を閉じたあたしの
耳に響く、忘れもしない


肉を裂くような生々しい音。


とても聞いていられなくて
何が起こったのかわからないまま


耳と目を強く強く塞ぎ、耐え続けた。


それから
何分だっただろうか?


音が聞こえなくなり静かになった時には


全てが終わっていた。