どうして。
皆死んでいくの?
「恢斗ぉ…私さ、恢斗の天然さに
本当に助けられたよ…!私が恐怖に負けそうになっても恢斗が笑わせてくれたから…」
今度は私が恢斗を笑顔にさせたい。
私が泣いていたら駄目、だ。
涙で濡れた顔を必死に
笑みの形に持っていって
恢斗に今までの感謝を必死に
伝えていた。
恢斗は私が握った手を愛おしそうに
握り返し薄く開いていた目を閉じた。
「…好きな人に看取られて死ぬのって
幸せな事ですね」
ねぇ恢斗。そんな事言わないで。
私は助けられてばっかで
何も出来ないのに…
「幸せ」、なんて。
「…お、俺もいるぞ!!
嫉妬してなくもないけど、状況が状況だし別だ!!」
智弘がそこに割り込み
上からまた恢斗の手を握る。
「ふふ。……智弘さん…智弘。
澪夜さんを幸せにして下さいね」
「…恢斗……」
いつも人の事をさん付けで呼んでいる
恢斗が「智弘」と呼んだ事に驚いたのか
智弘は目を丸くする。
