まだ、読んでる途中なのに!!
媛乃に読んで聞かせようとしたけれど
途中で媛乃は大声を上げ
無数のナイフを放った。
銀色に光るナイフの速度はそこまで早くない。けど…範囲が広すぎて。
死の気配を感じ呼吸が荒くなる。
…こんなの、避けられない…
恐怖で体が硬直し立ち尽くす。
「澪夜ぉぉっ!!!」
智弘の叫び声が聞こえた。
でも私は動けない。飛んでくるナイフを
見つめるだけ。
あれ…これ、もしかして私、死ぬ…?
スローモーションのようにゆっくりと
私に襲いかかるナイフ。
折角莉香が命を懸けて
私を守ってくれたのに。
私は、ここで死ぬ…?
『あぁあぁああああぁ!!!!』
媛乃の怒声。涙。
……涙?
いろんな思考が混ざって
整理できない。
死はもう、目の前に。
ごめんね、莉香……
ぎゅっと目を閉じる。
媛乃の呪いを解く前に死ぬなんて…
ごめん、恢斗、智弘……
死を覚悟した私。
……ところが衝撃も痛みもいつまで
たっても私の元へは来なかった。
