「……っ、前、に」
「ああ。莉香のためにも…な」
沈黙が辺りを包む。
『きゃははははっ!!!
あと3人…』
そこに割り込むようにして
媛乃が声を上げた。
浮遊している媛乃。
その表情は退屈そうだった。
『あんた達の茶番が終わるまで
黙ってるの退屈だったよぉ。
このまま不意をついて全員殺してやっても
よかったけどさ、じっくり楽しんだ方がいいよねぇ?』
…この人はなにを言ってるんだろう。
「ひめ……の…」
『優しいよね、あたし。
わざわざ感動ストーリーに付き合ってあげてんだから…きゃはっ!
もーすこし待ったげる。終わったら
次は誰殺そうかなぁぁぁぁ?
復讐もそろそろ終わりそうだね』
…理解できない。
「媛乃ぉぉぉおおお!!」
憎しみが湧き上がった。
莉香の命はストーリーの為に
奪われたというの…!?
「ふざけないでよっ!」
「澪夜、手帳を」
智弘に言われて手帳を見つめる。
莉香の気持ちが、真意が
ここに書かれているなら
莉香の想いを私は受け止めるべきだ。
そして私は涙を止めようとせず、
手帳をゆっくりと開き
震える声でゆっくりと2人にも聞こえるように
読み上げていった。
