「莉香さん!」
「莉香!?」
恢斗と智弘も側に寄ってくる。
私の腕の中、莉香は
胸に空いた穴を見て小さく息を吐いた。
「まだ…生きてる…のね
時間が残された…だけ、よかったわ」
「なに言ってるの…!!
時間が残された、なんて言わないで!!
莉香は死んだりしない!!
死なせない!!」
私は叫ぶと
スマホを取り出し119番へ電話を
掛けようとした。
けれど莉香の冷たい手が私の手を弱々しく
掴んだから私は動きを止めるしかなかった。
「やめて。無駄よ。…いいから、
私のいう事…聞いて?」
「嫌…莉香…莉香ぁ…」
ツン、とした感覚を感じた瞬間
大粒の涙が両目からこぼれ落ちた。
私の涙は土気色になっていく莉香の頬に
ぽとりと落ちて滑り落ちる。
