私も、恢斗も、莉香も、智弘も。
皆青ざめたり叫びそうに
なったりはしてるけれど
やっぱりどこか落ち着いていた。
こんな、こんな光景を見ているのに
正気を保っていられるなんて
自分に驚く。
そっか。きっと慣れちゃったんだ…
昨日も同じ光景を目にして。
私は、私達は「死」という物に
特別感を抱かなくなってきているのかも
しれない。
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
「あ…ぐ…」
呆然と離れたところで惨劇を見ながら
立ち尽くす私達の前で
次々とばらばらになっていく
警察官達。
むせび泣く人、嘔吐する人、そしてばらばらになっていく人。
それは長いようで、一瞬だった。
いつしか辺りは静まり返り
血の匂いと肉片だけを残して
絶叫と命は吸い込まれるようにトンネルへと
消えていった。
