こちらに背中を向けているため
うつ伏せと判断したに過ぎない。
体の部位の切断面から
鮮やかに血が高く吹き出す。
赤い、赤い血が……
「あ……ぁ…」
口から勝手に漏れる声。
だが惨劇はこれで終わらなかった。
「っ!?お、おい…!!
やべぇぞ、皆の者、ここから離れなさい!」
警察官のひとりが事切れたその人を見て
騒ぎ始める他の警察官へ
指示を飛ばした。
「早く!それと救急車と他の警察官に
連絡を……っ」
ーーースパッ
またしてもその言葉は途切れて
かわりに鋭利な物で
勢いよく何かを切ったかのような鋭い音が
聞こえる。
「い、ぎ…っ」
また、地面に崩れ落ちる、人。
「ね、ねぇ恢斗…どういう、ことっ…!?」
荒くなる呼吸を必死に抑え、
絶叫しないように口も抑えながら恢斗に
問う。
「…まさか、媛乃の仕業、でしょうか…」
「誘い込もうとしてるのかし、ら」
