「智弘…殺人現場に入らせてくださいって
頼まれていいよっていう人なんて
いないよ?」
「…そ、それもそうだな!
いや、知ってたぞ!?皆の笑いを取るために
言っただけだ!」
私が苦笑いで智弘にそう言うと
あからさまに慌てながら
両手を腰に当ててドヤ顔を決めだした智弘。
その様子に私達は笑うしかなかった。
逆の意味で智弘は皆の笑いを
取れていた。
空気が和んだ所で
こほん、と恢斗がひとつ咳払いをした。
皆が恢斗へ顔を向ける。
「…とりあえず、警察官の様子を見て
突破できる方法を探しましょう」
いち早く恢斗の提案に反応したのは
智弘。
「恢斗、それ、
見つからなかったらどうすんだ?」
「それは……」
「…ぎゃぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁ!!」
…恢斗の言葉の続きは、聞こえなかった。
恢斗の声をかき消したのは
大きな大きな男の絶叫。
「な…なに…!?」
