「そういえば、その日記…
内容は読んだの?」
莉香はまじまじと
私の持つ日記を見て首をかしげた。
「ううん。媛乃が現れたら
その時読んで聞かせるつもり。
その時まで読んじゃいけない気がして…」
正直、何度も読もうとした。
でもこれは媛乃への
メッセージだから。
媛乃へ直接届けるその時まで
私が軽々しく読んでいい物では
ないと思ったから。
1ページたりとも私はこの日記を
読まなかった。
「そうですか。…さて、どうやって
入りましょうか」
「中に入らせて下さいって素直に
頼んじゃダメか?」
恢斗の言葉に
ひらめいた!といった様子で
智弘が恢斗に提案した。
「……馬鹿ですね」
「…バカじゃないの?」
瞬間、返ってきたのは
莉香と恢斗の呆れの混じったため息。
「…ぷっ……」
私も笑いを我慢出来ず
くすくすと笑ってしまった。
さすがに智弘、それは…ね?
