「…言えないわ」
「…っ。なんで…!」
嘘だという事を否定していない。
って事は私のせいで皆に
呪いが降り掛かった、というのは
嘘……
「莉香…どうして…」
「…まあまあ。莉香さんには
後でたっぷり聞きましょうよ。
…呪いを、解いたあとにね」
莉香と対峙する私へ恢斗が
声をかけた。
「そうだな。それよりも今は
どうしたらトンネルの中に入れるか
考えないと」
智弘の目線は立ちはだかる大勢の
警察官へと向けられていた。
1回目、トンネルに入った時も
警察官がいる中で
どうやって中に入るか話し合った
気がする。
その時は恢斗が嘘をついて
警察官を騙す形で中に入ったけど。
「恢斗のハッタリもさすがに
2回目は通じなさそうね。警察官に
その事は知れ渡ってるでしょうし」
「うん…どうしよう。媛乃にこの日記を見せなきゃいけないのに…」
莉香の言葉に私は
手に持っていた日記に視線を落とす。
古ぼけた日記帳。
きっとここには
魔莉乃の辛い想いがたくさん、たくさん
書かれているのだろう。
