長い艷めく黒髪を指でくるくると
いじりながら


気まずそうに少し俯きがちに
私達の前に姿を姿を現した莉香。


「莉香、莉香っ!」


思わず嬉しくて莉香に
向かって勢いよく抱きついてしまい


今の私達の関係を思い出しはっとした。


やばい。絶対振りほどかれるか
もしくは何か言われるっ……


咄嗟に体を固くした私だけど
莉香の言葉は予想外のものだった。


「…ごめんね、澪夜…」


「えっ!?」


ばっと莉香の胸にうずめていた
顔を上げるとそこには


どこか吹っ切れたように
切なく笑う莉香の優しい顔があった。


「莉香?」


驚いてその名前を恐る恐る呼んでみる。


「もう、大丈夫よ。昨日は本当にごめんね」


優しい声音。


だけどどこか苦しそうなその笑顔。


やっぱり莉香が昨日あんな
嘘をついたのは。


「よかった…。莉香…
なんで…あんな、嘘ついたの?」


…きっとなにか、理由があるはず。