「そういえば、莉香…は…」


「来てない、な」


「…ええ」


莉香の姿はまだ見えない。


スマホをちらっと見ると
時刻は7時55分。


そろそろ待ち合わせ時間だ。


莉香はやっぱり来ないのだろうか。


莉香…たくさん伝えたい事、謝りたい事
いっぱいいっぱいあるの。


お願い、来て……


けれど、そのまましばらく待っても
莉香は現れなかった。


「8時まであと、2分です」


「…莉香…」


皆で呪いを解きたい。
この思いは変わらなかった。


関係が悪くても莉香は私の
親友。ずっと、ずっと。


「あと1分だ」


焦っているような智弘の声。


恢斗も険しい表情を見せている。


莉香、待ってるから。お願い。


莉香…っ!


半分もう無理だと思っていた。
でも、その時恢斗の時と同じように


後ろから、声が。


「………待たせた、わね」


「…!?」


凛とした、綺麗な声。


少し疲労が混じった途切れ途切れの小さな声
だけれど、でも、でも。


「あ……」


3人で一斉に声がした後ろを振り返る。


「り、莉香……っ!!」