「なに泣いてんだよ」 「泣いてないよ…別、に…」 ぼろぼろと零れる涙を智弘が そっと指先で拭ってくれる。 私は必死に強がるけど智弘には いくら虚勢を張っても無駄な気がした。 「これから先なにがあっても 絶対守るから。な?」 「うん…ありがとう…絶対に死なないでね」 「あったりめーだろ!」 空がだんだんと夕暮れに染まってゆく。 私達はカーテンから漏れる 夕日を浴びて 幸せに包まれながら 口づけを重ねた。 今までの恐怖、悲しみを 全部覆い尽くすように 何度も、何度も。