高校3年生になったばかりの頃
学年の人気者で優しい智弘を
好きになったのは瞬きくらい一瞬の
事だった。
気づけばいつもあなたを目で追っていたし
話している間は夢を見ているようだった。
このまま友達として仲良く出来るなら
それだけでもう嬉しすぎるくらいだ。
でも、でもいいのかな。
思いを伝えてもいいのかな。
「智、弘。聞いてほしいことがあるの」
隣にいる智弘と向き合ってその目を
今度は私がしっかりと見る。
「あのね…あのね、私……」
もし振られたら?迷惑だって言われたら?
迷いなんて抱えきれないほどあった。
それでも口は勝手に言葉を紡いでいく。
もう引き返せない。
両手をぎゅっと握りしめて私は
震える声を絞り出して思いを伝える。
「智弘はいつも優しいし、明るいよね…
私がさっき話してた好きな人、あれってね
…その……っ」
