「え?は、はい!?」
一瞬遅れて驚きのあまり間抜けな声を
出して隣に立つ智弘を見る。
「いんのか?」
智弘は私が慌てているのにも関わらず
真っ直ぐに私の目を見てくる。
「い、いる……よ」
智弘はなんでそんな事を聞くんだろう?
「どんな奴?」
玄関前に立っているのも疲れた為
リビングのソファーに腰掛けた私達。
隣に座った智弘の質問にますます
思うように声が出せなくなる。
「え、えっと…明るくて、
とにかく優しくて…周りの雰囲気を華やかにさせることができる人…だよ」
…智弘は
まさにそんな人なんだよ。
最後のこれは心の中で呟いて
つっかえながら智弘に答えた。
「そっか」
智弘の声が私のすぐ隣から聞こえる。
こんな夢みたいな状況…
ふと、莉香に初めてトンネルに入った時に
言われた事を思い出した。
「告白でもしてみたら」って。
告、白…
あの時は絶対にそんな事する時なんて
来ないって思っていた。
私には関係ない話だと。
それが今大好きな彼が
すぐ隣にいる。
手を伸ばせば触れられる距離に。
