どこか物寂しそうに
小さくなっていく恢斗の背中を見届けて
それが見えなくなると
パタン、ドアが閉められた。
私は静寂に包まれた空間で何気なく
ひとりごとのように呟いた。
「明日、呪いが解けるかもしれないんだ…」
言葉にしてみると実感する。
明日ついに全てが終わるかもしれない。
「違えだろ。呪いが解けるかもしれないんじゃない、解けるんだよ」
「そここだわるの?」
「うるせぇな!」
「あははっ!」
返事をしてくれた智弘との会話が
楽しくて、どきどきして、嬉しくて。
ほんのり頬を紅(くれない)に染めて
私は心から笑った。
「恢斗も帰っちまうことないのにな」
「そうだね…なにかあったのかな」
魔莉乃との記憶が蘇った時
智弘に密着していた私。
その時視界の隅に見えた
恢斗の切なそうな眼差し。
あれはなんだったんだろう。
