「ああ、いや別に俺もいいんだけどよ!?
その、抑えきれる自信ないっていうか…
あー…なんでもねぇわ」
くしゃ、と前髪を触って
真っ赤な顔を逸らす智弘に
「え?どういうこと?」
智弘が熟れた頬をしている理由がわからず
きょとんとしてしまう私。
「……では、お邪魔しました。
おふたりでどうぞごゆっくりして下さいね」
微笑して赤面する私達に
階段の下から恢斗が声をかけた。
「なにそれどういう意味よぉ!
じゃあね、本当に気をつけて…!」
「明日、絶対ひとりも欠けずに
呪いを解こうな!」
下まで私達も下りてきて恢斗に
手を振る。
恢斗はそれに手を掲げて応じ
玄関のドアを開けてもう夕焼けが
うっすら見える外へ足を踏み出していった。
「私がいても邪魔でしょうし、ね…」
私達に背を向けたまま
糸のようにか細く出した恢斗の声は
手を振る私達には
聞き取れるはずもなかった。
