智弘の肩が密着して
こんな時でも無意識にどきどきしてしまう。
そんな中薄く開いた目に
恢斗の寂しそうな横顔が見えた気がした。
恢斗、なんでそんな顔してるの…?
切なそうな顔に違和感を感じたけど。
でも今はそれどころではなくて。
声をかけてくれる恢斗に、
返事なんて出来なかった。
チリ、チリ、と
次々に記憶が蘇る。
閉じた瞼の裏には
昔の家。
そして
「 魔莉、乃…!?」
こちらに向かって微笑む魔莉乃。
『澪夜、思い出して。日記の場所は…』
マイクで喋っているような響く声で
魔莉乃の声が聞こえる。
直接脳に響くような、そんな声。
魔莉乃はそういうと「ある場所」を
指さして切なげにまた微笑んだ。
その場所は私もよく知っている。
そうか。日記は、そこに…
『絶対に呪いを解いてね…』
最後に優しく、そう残して
頭のぐらつきも脳裏に映る懐かしい
記憶も消え去った。
「澪夜さん、もう大丈夫ですか?」
「2人とも…付いてきて」
