そして…私がその命令を下した5日後。
ついに何も知らない媛乃は
気絶したのか、
だらりと両手を投げ出したまま
私が命令を下した男達に
担がれて、
家から出てきてトンネルへと運ばれた。
周りにはたくさんの村人。
私はその様子を、大好きな親友が
トンネルに閉じ込められる様子を
直視しなかった。
ううん、できなかった。
頭の中には大好きな媛乃との思い出が
駆け巡っていて、
熱い想いが涙となって溢れてきたから。
媛乃の事は村中に伝わっていて
皆が両手を合わせて祈りを捧げていた。
私はただ、媛乃が目を閉じたまま運ばれていく様子を顔を手で隠して
涙を流しながら目を背けることしか
出来なかった。
「あいつは…媛乃は魔女だ!村の為に
ここに閉じ込めて殺してしまえ!」
私が命令した通り男達が
高らかに宣言して
内心やり過ぎだと思っているだろう村の人からも躊躇いがちにだんだんと
歓声が上がり始めた。