名を呼ばれてあたしは宿題をしようとした
その手を止める。


『え、なに?誰か来たの?』


深く考えもせず、
なにがあったのかと
2階の自室からリビングへ向かう。


『お前、邪魔なんだよ!どけよ!魔莉乃様達の為にそいつが必要なんだよ!!』


男の怒鳴り声。


魔莉乃様、という言葉に反応する。


魔莉乃というのは
あたしの1番の親友の名前。


その魔莉乃の事だろうか。


魔莉乃ちゃんの為にあたしが必要?


『媛乃は…なにも知らないの!!
魔女の事も、力のことも!』


お母さんの怒鳴り声。


怒鳴り声が交差する中で、あたしは
リビングから様子を伺いながら


情けなく震えることしか出来なかった。


お母さんのこんな大声初めて聞いた。


だんだんと自分のおかれた状況を
理解してきた。


尋常じゃない気迫。これはやばい気がする。


そう思った途端全身を恐怖が駆け巡る。


魔女?力??


男達が口走った聞きなれない言葉。


あたしのことだろうか?


いったい何のことを話してるの?