唖然として返事が出来ない私に
一方的に話は進んでいく。
『私も最初は驚いたわ。澪夜も、恢斗達も…みんなの動きが止まっていた。
極めつけは近くを飛んでいた蝶の動きが
空中で止まっていたことかしら』
そのすぐ後に
電話口越しに細く、短い溜息が聞こえた。
何かを躊躇っているような
迷っているような
そんな感じだ。
…凛とした声は聞こえない。
「莉香?」
そこで途切れた言葉に疑問を持ち
その名を呼ぶ。
返答はなく、携帯の充電がが切れたのかと思い確認したが充分にある。
少しの沈黙の末
冷たい声が再び私の耳に直接届いた。
『赤いワンピースを着た少女…
媛乃が私の前に現れてこう言ったの。
「神崎魔莉乃の血筋が呪いが今お前達に降り掛かっている原因だ」って』
