「…莉香っ…待って…!」
恢斗と智弘に背を向けて
朝の村を朝と同じように駆け抜ける。
なびく風が私の髪をくすぐる中で
必死に莉香の姿を追っていた。
既に莉香は信号を渡り莉香の家の方面へ
歩き出している。
ぎりぎり背中が見えるくらい
の距離にいる莉香のもとへ
全力で走っていく。
「りぃ…かっ!」
「ひゃっ!?」
すぐ目の前まで迫ったその背中を
思いっきりばしっと叩くと
驚いたように振り返る莉香。
「え、澪夜……」
私の名を呼ぶ莉香の表情は迷いに揺れているのがわかるから…
余計に何故莉香が私に冷たくするのかが
理由が浮かばなくなる。
嫌いになったから……?
ううん、そうじゃない。
莉香との絆はそんな簡単に破れるもの
じゃない…って私は勝手に思ってるし
もしそうだとしたらこんな複雑な表情
しないはずだもん。
