「えっ?…」
莉香は私と目を合わせようとせず
俯いてそう言った。
私は聞き間違いかと思って聞き返したけれど
莉香はもう答えてくれなかった。
莉香…なんでそんなよそよそしいの?
「ねぇ莉香…私なにか、した…?」
胸に波紋が広がる中でおずおずと
尋ねる私に
「なんでもない、もう家に帰るわね」
そう素っ気なく言って莉香は
1人でに歩き始めてしまった。
「莉香!?1人じゃ危ないよ…!待って!」
よからぬ雰囲気を感じ取ったのか
智弘と恢斗も不思議そうに
すたすたと歩いていく莉香を見つめている。
私の声に返事もせずにもう来る時に通った横断歩道に差し掛かってしまった莉香。
「莉香……」
急にどうしたんだろう…
特別嫌われるような事をした記憶がなくて
莉香の態度の急変の原因がわからず
その姿を追いかけられずにいる私に
恢斗の声がかけられた。
