「まあ馬鹿には理解出来るかわかりませんが……」


「馬鹿じゃねぇよ!」


恢斗の言葉に間髪いれずに
抗議する智弘。


いつも通りの2人の言い合い。


私はそれを見てくすくすと笑いながら、
隣に立つ莉香に話しかけた。


「ねえ莉香。……魔莉乃達が媛乃を生贄として差し出した理由をまた私の家で一緒に調べない?」


いつもと同じようなノリで聞いたつもり
だったんだけど……


莉香は私の声にびく、と肩を跳ねさせたように見えた。


「…莉香…?」


不安になってその名を読んでみる。


どうしてそんな反応をするの…?


莉香は『ええ!そうね!』なんていつものように笑顔を見せてくれると思っていたら


数秒間の沈黙の末
返ってきた返事は予想外のものだった。


「……行かないわ…1人で調べて」