「なんかあったらちゃんと言うんだぞー?」


2度目の智弘の
澄んだ声がかけられた途端


突然私の視界に現れた智弘の手が……


私の頭にぽん、と置かれた。


「……!?」


わっ…!?


ほんとに一瞬の事で混乱しまくる私。


……と、ととと智弘!?


ほんの数秒で、
もう手は離れてしまったけれど…


私にとっては永遠と言ってもいいくらい
嬉しい瞬間だった。


肩幅ひとつ分くらいの距離にいるのに
ほのかに香ってくる
爽やかなシトラスの香り。


…恥ずかしくて
思わずのけぞってしまった。


「あ…わ、私そんな溜め込む人じゃないし、大丈夫だって!」


意識してることを知られたくなくて
強気でいい返す。


「じょーだんだよ。」


も、もう…。


そういってケラケラと笑う智弘。


ただ頭に手が触れただけなのに


動悸が収まらない。


智弘のおかげで変な冷や汗かいちゃった…。


そのせいでさっきの悪寒なんて、
私の頭の中からは消え去っていた。


そして私はいつも通りの1日を
過ごしたのであった。