「お母さん……ううん、魔莉乃…
あなたはなにを伝えようとしてるの……?」
本当は「お母さん」って呼んで
その胸に飛び込んでみたかった。
でも幽霊である今、悲しんでも
余計に辛くなるだけ。
私はあくまで魔莉乃の目的を知りたい、
……それだけだ。
魔莉乃は私の言葉に
切なげに目尻を下げて笑うと、
きゅっと綺麗な顔を引き締め口を開いた。
『朝…トンネルに行って。…そうしたら
紗来の血筋が誰なのか…わかるから』
ごめんなさい、守れなかった。
最後にそう言って
悲しげな表情を見せる魔莉乃。
その言葉は私の胸に突き刺さる。
朝…トンネルに?
嫌な予感しかしない。
や…やめて…
頭の中で警報が鳴り響く。
紗来の血筋…?守れなかった…?
なんの、事…?
「…っ!誰も、死んでないよね…!?
ねぇ……っ!」
魔莉乃に掴みかかるようにして
歩み寄り、声を張り上げる。
信じたくない。ううん、信じない…!
脂汗が滲み、無意識に手が震える。
『…もう、時間みたい…
媛乃に…気づかれる…』
そんな私の問いには答えない魔莉乃に
不安が募る。
