『嘘だよ!怪我人だよ。』


「そうだな。ただの怪我人じゃねぇがな。」


『どういう意味よ?』


「危ない奴だからな。」


『どういう意味で…!』


「全部だよバーカ」



言い争いをしているのに、どこか心が暖かくなるのがわかる。


安心と同時に、不安も感じた。



『私は、独りがいいから。帰って。来なくていいよ。』


「ったく全く理解しねぇよな。また来るわ。」


『理解しないってところ、そっくりそのままあなたに返すわ。』


「まあまあ、じゃあなぁー」



絶対にまた来るつもりなのであろう。



チャラく手を振って病室から出ていく徹平のドアを閉めるときに見えた顔は、何かを企んでいるような顔だった。