ぼっちの俺に、青春ラブコメは難題すぎた。

……自分は他人に利益になること良いことをしていると、偽善にまみれた悪意に似た善意なんてしたくない。





「……それに他人を助けても、それで俺が得るものはない。その人がひとりだけで助かるだけのことだ。だから俺は他人を助けない。だから俺から他人に助けを求めることもない」



……そう、決めたんだ。


……他人に頼らない。


……他人の迷惑にならない。


……他人を恨めしく思わない。


……他人を傷つけない。


……そうすれば、誰も悲しまない世界が完成する。




冷静な口調で猫背のまま小さな声で呟いたあと、俺は自分の教室へ向かう為に歩き出す。




自分から離れていく憂樹の背中を桃華は複雑な面持ちで見つめていた。





その日の放課後。



俺は、昨日、先生から強制的に入部させられた旧文芸部の部室で、ひとり会議用の長い机の左奥の席に座って読書をしていた。



昨日、強制とは言え、入部したわけだから次の日から部室に来ないというのも何だか俺も気分が悪い。


なので、とりあえず、もう少しだけここに居ようと思う。



それに、まだ大和への二階堂の迷惑行為が終わったとは言い切れない。

暫く、様子を見るという意味でも俺はこの旧文芸部にいるのだ。



そうだ、別に居たくてここにいるのではないのだ。


大和が心配で……じゃない、仕方ないから俺がここにいるのだ。


断じて、自分の意思ではない。




……って、俺は何を自分に言い聞かせてるんだか。



様々な言い訳を着飾って、ここにいる理由付けをしている自分に苦笑いを浮かべて読んでいた本を机に置く。


部室の窓から見える空を見上げる。


白い雲が夕日に照らされてオレンジ色に染まっている。

夕日でオレンジ色した空と雲の美しさに俺は思わず見惚れてしまう。



……たまに、夕日を見るとその風景の美しさに、俺の荒んだ心も少しだけ浄化されて癒されてしまう。