ぼっちの俺に、青春ラブコメは難題すぎた。

大和から挨拶が返ってくることなんて端から期待等していない。




寧ろ、俺が大和に言葉をかける、交わすこと自体が烏滸(おこ)がましいことなんだ。



ポケットに手を入れて俯き加減で大和の隣を歩いて通り過ぎる。




「……ちょっと、倉根くん、待ってくれないかしら」



すれ違ってすぐに大和から呼び止められる。

俺は足を止めてその場に立ち止まる。


振り向かないで素っ気なく返信をする。




「……どうした?」



……。


俺を呼び止めた大和だったが言葉が返ってこない。



いざ呼び止めたのはいいが、何て言葉をかけたらいいかわからないということなのだろう。


俺は、大和から言葉が返ってくるのを無言で待つことにした。



暫くすると、大和は言葉を途切れ途切れに言う。




「……あ、あの、昨日、倉根くん、私に言ったでしょ?自分から危険を引き寄せる必要はないって。所詮、他人は他人なんだからって」



……確かに、俺はそんな偉そうなことを言った。



「……あぁ、そんなこと言ったな。それがどうした?」


目を合わせることなく俺は冷静な口調で大和に言う。


大和は、下に目線を落として少し間をあけて俯いて言う。



「……なら、倉根くんは、何の為に傷を負うの?貴方は、何の為にひとりで傷を負うの?貴方は、どうして辛そうな顔をしてるのに人を助けるの?」


俺は、大和の言葉に下げていた顔を上げて彼女を見る。

彼女も顔を上げて、俺と目を合わせて話を続ける。



「貴方は、どうして、他人から目を逸らしているの?どうして、貴方は他人に助けを求めないの?どうして……」



「……俺が、弱い人間だからだよ」


俺は小さな声で呟く。



大和は目を大きく見開いて驚いている。



「……それに、俺は誰かを助けたことなんて一度もない。他人は他人を助けることなんてできないから。もしも自分が他人を助けたと思い込んでいるならそれはただの自己満足でしかない」


……他人が他人を救うなんてことができるのなら、この世には不幸なんて言葉は存在しないことになる。