ぼっちの俺に、青春ラブコメは難題すぎた。

怪我を負った俺を心配して豊島先生が後ろから駆け寄ってきて、自分の肩を俺に貸す。



「本当に大丈夫なのか?もし一人で帰るのが難しいのなら、先生が自宅まで車で送っていくぞ?」



「……いえ、怪我をしているときに先生に身を任せるなんて危険な事を。何をされるかわからないので、遠慮しておきます」



「なっ、心配してる先生に失礼だぞ!先生の善意を素直に受け入れられないような生徒は、先生が自宅で説教するしかないな」



「……それって、結局、俺を先生が送ることに決まってるじゃないですか。迷惑ですからやめてください。妹に変な誤解をされるのは嫌なので」


年上の女性に興味があるとか姫乃に思われると、厄介だからな。


今後の俺と姫乃の兄妹関係もぎくしゃくしかねないし。


だが、豊島先生は俺の言葉に全く耳を傾けない。



「ダメだダメだ!先生が倉根の家に送るのは既にもう決定事項なんだ!この決定を覆すことはできない事だ」


自慢の胸を前に突き出して鼻高々に豊島は、偉そうに宣言する。



……無茶苦茶な事を言いやがる。


少しは生徒の言葉に耳を傾けろよな、これだから年上の女は。




「……俺のことはいいですから、豊島先生は、大和を家まで送っていってあげてください。何処にストーカーが隠れているかわかりませんから」


……これ以上関わられるのは迷惑ですから。




「その事なら問題なしだよ、倉根。大和のことも先生が責任を持って自宅まで送り届けることになっているから、心配ご無用だ!」


……くそぉ。


……既に手が回っていたか。
もう逃げ道はどこにも無さそうだな。



……仕方がない、今日は諦めて先生のお世話になるか。
これ以上断り続けていると、本気で俺の家に泊まって朝まで説教だとか言い出しそうだし……。



俺は、先生からの小さな親切、大きなお世……いや、まあ、断るのを諦めることにした。