ぼっちの俺に、青春ラブコメは難題すぎた。

両膝を着いてその場で踞る俺の頭部を男子が思い切り蹴り飛ばす。



勢い良く蹴り飛ばされた俺は仰向けに大の字で倒れる。

男子は、馬乗りになると胸ぐらを掴んで自分に引き寄せると俺の顔面を右手で何度も殴る。


嬉しそうに笑顔を浮かべて。


男子に殴られている間、俺は犯人の顔を見て誰かを思い出していた。



……こいつ、同じクラスの二階堂とかいう奴じゃないか。


まさか、同じクラスメイトが大和に対して迷惑なストーカーしていた犯人だったとはな。
豊島先生も厄介な生徒をまた受け持ったものだ。


俺、一人だけでも厄介者だというのに自分が受け持つ生徒に新たな厄介者が存在していることになるなんて。






……まあ、どうでもいいか。








その事実さえ誰も知られなければ、豊島先生が困ることも、悩むこともないのだから。


……そうするのが最善の方法だ。






口の中は殴られたことで切れたのか、鉄の味がする。


遠ざかる意識の中、俺は廊下に大の字に倒れて灰色の天井を無言で見つめる。


二階堂は、俺を殴るのに疲れたのか、誰にも気づかれないように廊下を走ってその場を去っていった。



殴られ過ぎたせいなのか、顔面の神経が麻痺してしまったのだろう。
今は、全く痛みを感じない。


こりゃ、後で激痛が襲ってきて痛みとの壮絶な闘いになりそうだ。



……あぁ、怖い怖い。



口元を緩ませてその場に寝そべりながら俺は一人笑う。





「おい、倉根。お前、どうしてそんなところで寝て……。倉根?!どうした!一体何があったんだ?!おい!倉根っ」


部室から出てきた豊島先生が俺の異変に気づいて、そばに駆け寄ってきて耳元で大声で俺の名を呼んで叫ぶ。


俺の姿を豊島先生の隣で見ていた大和は大きく目を見開いて驚くような顔をして見つめている。