ぼっちの俺に、青春ラブコメは難題すぎた。

制服のズボンのポケットに両手を入れて俺は猫背でゆっくりとした歩調で歩く。



こちらの様子を怪しげな目で廊下の陰から見ている人物に近づいて声をかける。




「……何してるんだ?あんた」


今思えば、この時の俺はどうかしていたのだ。
自ら危険を引き寄せるような行動をするなんて。



廊下の隅で身を隠して立っている人物は俺と同じ学校の制服を着ている。


薄暗いせいか、顔がはっきり見えないが背格好からして男子なのは間違いない。


俺から声をかけられた男子は低い声で一言呟く。



「……お前、大和さんの何なんだ?」


やはり大和に関係する人物か。


……恐らく、こいつが大和に対して迷惑なストーカー行為をしている奴に間違いないだろう。


ただ、確認の為にもう少し様子を見てみるか。



「大和と俺がどうゆう関係だろうとあんたには関係無いことだろう?」


いくら、廊下に電気が点されているからと言っても、廊下の隅は省エネの為に照明が点灯しないように電球が外されている。


だから、安易に近づくのは危険だ。



男子からある程度一定の距離を保ちつつ俺は、一捻り入れた質問を男子に投げ掛けてみることにした。



「あんたは、大和のどこが好きなんだ?別にあいつって特別美人とか可愛いとか訳でもないだろう?寧ろ、ブスの分類に入るだろう?あいつ……」


好きな奴への躊躇的な発言に男子は自らの感情を押さえることができなかったのだろう。


いきなり近づいてくるなり俺の制服の胸ぐらを強い力でぐいっと掴んで俺に迫ってくる。



「お前に……お前に、大和さんの何がわかるっていうだ……!!」



余り感情的に怒っている相手を挑発するのは危険だから少し言葉を考えて……。




「……はあ?何も?別に興味もない女子のことなんてわかりたくもないが?馬鹿馬鹿しい……」


俺の言葉に男子は高ぶる感情を抑える事ができなくなる。

もう少し抑えめに攻めるべきだったかと思いつつも後悔先に立たずと言うべきか。

時すでに遅しなのであった。



俺の制服の胸ぐらを掴んだまま右手を大きく振りかぶって、俺の左の頬を思い切り殴る。


至近距離から強い力で殴られた俺は、その場に膝をつく。


自分の顔を手で押さえる。