ぼっちの俺に、青春ラブコメは難題すぎた。

豊島先生が俺からの言葉に俯いているのを見た大和は教室の扉の前に立ったまま言う。



「そうゆう、く、久保田くんには誰かに相談したい悩み事とかないの?」


「倉根な」


さっき名乗ったばかりなのに忘れられてるとかどうゆうことなんだ?

まあ、俺の存在なんて数分で忘れられるような薄い存在感なんだ。



……悩み事。


この十数年生きてる中で悩み事や相談したい事が今まで無かったかと言えば、ある。

生きていれば悩みは常に付き物であるわけだから、無いという人間の方がおかしいと言えるだろう。
俺の一番の悩みと言えば、やはり自分のこのひねくれた性格だろうか。


けれど、性格は他人に相談しても解決できるものではない。
自分で何とかできるような簡単な問題でもないこともわかっている。


教室の扉の前に立っている大和桃華を俺は無表情のまま見て言う。



「……他人に相談するような程に深い悩みは俺には無い」


それに一向にこちらに自ら歩み寄ってこない同じ部活の部員に相談するような便利な小さな悩みを俺は持ち合わせていない。


……どうやら俺は今まで同じクラスだと言うのに一度も話したことのない大和桃華にも嫌われているようだ。

……流石、俺のぼっち力は計り知れない程の破壊力がある。
クラスメイトの大半から人気のある大和にもあからさまに拒絶されるなんて泣けてきてしまう。


「本当?本当は誰かに悩み事や相談事が有るんじゃないの?」


大和は確かめるようにもう一度俺に問いかける。



「……俺には悩み事なんて無い。強いて言えば、お前にしつこく悩み事は無いのか?と聞かれていることが悩みだ」


俺は憎まれ口を叩くのが平気で出来てしまう。相手の気持ちを踏みにじるような言動や行動が出来てしまう。


そして、相手を傷つける言動や行動をする度になんとも言われぬ罪悪感を胸に抱く。