ぼっちの俺に、青春ラブコメは難題すぎた。

あり得ない事だとわかってはいるけど気になってしまう。
これがまた人の性(さが)というものだろう。


豊島先生は俺からの素朴な疑問に対して迷いなき眼で俺を見て言う。



「何言ってるんだ?倉根は。そんなこと分かりきったことじゃないか」


「……そうですよね、そんな取って付けたような部活名なわけ……」


「旧文芸部という立派な名前に決まっているじゃないか!」


………。


……いや、まあ何となくは想像はついてたけど、本当に旧文芸部だなんてどんだけネイミングセンスが無いんだよと突っ込みたい。

それに彼女もよく旧文芸部だなんてふざけた名前の部活に在籍してるよな。
もしや、先生に弱みでも握られているのだろうか。


俺は豊島先生の顔をじっと無言で凝視する。


視線に気がついたのか豊島先生も俺のほうを見る。
先生は首を傾げて俺に言う。



「どうした?倉根。もしかして先生があまりにも美人だから、もしかして先生に惚れちゃったのか?困るな~生徒からモテモテで」

頬を赤らめてわざとらしい恥じらいをみせる豊島先生に俺は真顔のまま冷静な口調で言う。


「……先生、……恥ずかしくないんですか?いい年してそんなこと言って」


「恥ずかしくなんかないわよ?先生が美しいのは自分自身が一番よくわかっているからね」

胸を張って全くの躊躇なく自分で言ってる時点でこの人は自分が美しいと自負しているみたいだ。

よくも四十手前のおばさんが自分を美しいなんて恥じらいもなく言えるものだ。


ある意味尊敬に値するな。