そう思っていると、車いすが段差に差し掛かった。


美咲の体が大きく揺れる。


前のめりになった美咲の体は、そのまま地面へと落下した。


そう、落下したというのがふさわしい状況だった。


美咲は自分の手で身を守る事もせず、そのまま顔面からコンクリートにぶつかったのだ。


瞬間、赤いものが飛び散った。


美咲の顔が真っ赤に染まっている。


周囲には熟れたトマトのようなものが散乱し、美咲の顔の周辺からウジムシが這い出て来る。


トマトが美咲の肉片で、それはすでに腐敗をしていて、ウジが湧いている。


そこまで理解するのに時間がかかった。


先生が「あ~あ」と、ため息をこぼす。


その声でようやく我に返った。


自分でも驚くくらいの悲鳴を上げていた。


美咲が……美咲が、美咲が!!


先生と視線がぶつかり合う。


逃げなきゃ!


そう思うのに、体が思うように動かない。