そう思い、美咲へ視線を向けた。


美咲はさっきから集中して映画を見ている。


今かけている映画は美咲が大好きなラブロマンスものだった。


主人公と女性が周囲の手によって引き裂かれ、運命の再開を果たす一番のクライマックス。


ボクはその映画を最後まで見てからスーパーへ行くことにした。


「美咲、買い物に行くけどなにかいるものはある?」


そう聞くと美咲はすでにベッドに横になり、目を閉じていた。


映画を立て続けに見たから疲れたのだろう。


ボクはそっと美咲に近づくと、その頬にキスをした。


「行ってきます」


あの頃のように、耳元でそっと囁いてボクは家を出たのだった。