「あぁ、うん」


可愛い子だな。この時間にここにいるってことは俺と同じ1年生かな?


綺麗な顔立ちに小柄な体、肩まで伸びた髪、白く透き通るような肌。


この子、まるで……。



「君は桜みたいだね」


会って早々変な人だと思われたかな。そもそも桜が好きな男子なんて変だよね。


切なくて儚げでどこか守りたくなるような、それでも瞳の奥から強いものを感じる。そんな女の子。



「そんなこと、初めて言われた」


そう言って彼女は微笑む。


────ドキッ。


名前なんて知らないけど、このとき確かに心臓が音を立てた。それがきっと全ての始まりだったんだ。