「何?喧嘩?上等じゃん」


やっと席から立ったかと思うと、そう言って俺の前に立ちはだかる。



「こっちだ」と言われて無言でついてきた先にあったのは、資料室。


前に彼と星那ちゃんの声が聞こえてきたところだ。警戒しながらも「入れ」と言われて中を覗く。


言うんだ、大丈夫。意地を見せるんだ。ドアを閉めて言葉とともに息を吐き出す。



「江崎くんは、何もわかっていない!星那ちゃんを悲しませて何がしたいんだっ……」


あんなに言い聞かせたのに出てきた言葉は震えていて。


あぁ、やっぱり俺はダメだ。とんでもない意気地なし。



「は?昨日の話?あれはもう終わったことだし、俺と星那の話だろ。お前は関係ない」


あまりにもあっさりと言い返されて、俺の努力はなんだったんだ、と落胆する。でもこんなことで負けていられない。