「私と悠大は小さい頃からずっと一緒なの。中学2年生のときに付き合って、それからずっと幸せだった。悠大がいるから毎日楽しかった」


語られていく思い出。覚悟はしていたけど、彼女にとって江崎くんはとても大きい存在なんだ。



「……悠大も同じ気持ちだと思っていた。私達なら大丈夫だって信じていた。それなのに、もう、好きじゃ、ないって……っ」


どうしよう、胸が張り裂けそうなほど苦しい。江崎くんを想う気持ちの大きさが伝わってくる。


気づいてしまった。今まで目を背けてきたのに、この事実から逃がれられない。


────どんなに頑張っても俺には叶わない。



ふたりの思い出はそんなに軽いものじゃないんだ。俺が入り込む隙間なんてない。それはふたりが別れた今でも同じ。


だって、彼女はまだこんなにも江崎くんのことを想っている。そして、今でも信じているんだから。



「……気の利いたことは言えないけど星那ちゃんの気持ちは伝わったよ。だから絶対、江崎くんにだって伝わっているはずだよ」


なんて言えばいいのかな。上手くは伝えられないけどこれが俺の本心。


どれだけ彼女が江崎くんを想っているのか、入学したばかりの頃からずっと感じていた。



そう、俺は。彼女の幸せそうな笑顔が見たい。作り笑いなんて見たくない。


でも、彼女が心から笑えるのは江崎くんの前だけなんだ。