「可愛くて頑張り屋で、でも少し不器用で儚げで……本当に “ 桜 ” みたいだった」


俺は今まで星那の何を見てきたんだろう。星那を想う気持ちの強さは誰にも負けない自信があった。


たとえ彼女の心に江崎くんがいたってそんなの関係ないんだ。


ねぇ、俺があんなに一生懸命になれたのは。全部全部、星那がいたからなんだよ。



「……私には敵わないね」


寂しそうに笑って小谷さんは俺の目を見つめる。


確かに俺は、ずっと星那のことが好きで忘れられなかった。でもこんなにも楽しく笑っていられたのは間違いなく小谷さんのおかげだよ。



「小谷さん、ごめん。やっぱり俺、星那のことが好きなんだ」


無謀な恋はやめようと思った。星那がそれで幸せになれるなら俺がどうなったって構わない。ずっとそう思っていた。


でも、どんなに気持ちを押し殺そうとしてもいつまで経っても忘れられないんだ。



「……うん、わかっていたよ」


あぁ、もう。どうしてそんなに優しいの?俺は最低なことをしたというのに。


一緒にいるときに星那のことを考えていたこと。曖昧な態度で傷つけたこと。本当に後悔している。