桜色の涙


「あのっ、広瀬くん」


小谷さんの顔が夕日と重なった。そのせいか頬はオレンジ色に染まって見える。


「今日は楽しかったです。ありがとうございました」


最初はふたりだけでどうなることかと思ったけど、彼女の新しい一面を知れて楽しかった。



「俺もだよ」


普段は大人しい彼女だけど、俺達には素を見せてくれている。その事実がなんだか嬉しかった。


あの4人でいる時間が辛い思い出を洗い流してくれるような気がした。



「送っていくよ。家はどこ?」


でも俺は忘れたくなんかない。星那との思い出はこれからもつくっていくつもりだし、諦めるつもりも絶対にない。


外は綺麗な夕焼け。でもいつかは消えて夜になってしまう。


永遠なんてこの世界には存在しないのかな。そんなことを思いながら小谷さんを送って家へ帰った。