「……は?」


第一声はそれだった。


「もう1回言って?あたしの聞き間違いかも……」


「星那とは、別れた」


そう言い放つとふたりは何かを悟ったように黙った。




俺は今、渚の家に来ている。


春休み中、珍しく渚から電話がかかってきて『知らせたいことがある』と言われて来てみると、そこには先客─────橋本さんがいた。



『あたし達、付き合うことになったの!』


そんなおめでたい報告を聞かされて。以前の俺ならもちろん喜んで祝福していただろう。


でも、星那と別れてからは心に穴が空いたように気が沈んでいて、とても祝えるような心境ではなかった。



『広瀬くん、どうしたの?』


そんな様子を見て不思議に思ったのか、橋本さんが顔を覗いてきた。