桜色の涙


試合開始のホイッスルが鳴り響き、ジャンプボールを取ったのは相手チーム。


そして。


「江崎、いけっ!」


彼に向かってパスをした男子がそう叫ぶ。


その声とともにボールはなめらかにゴールへ吸い込まれていった。



「……え」


時間が止まったように思えた。


今の何?シュートを決めた彼は直視できないくらいに眩しくて。俺には真似できないくらい完璧で。



……そうだよ。俺が江崎くんに勝つなんて無理な話だったんだ。


嫌な考えが体の中を巡っていく。でも、助けの手を差し出してくれる人はいない。


これは俺自身の戦いなんだ。グッと歯を食いしばり、これ以上できないくらい拳を握る。


俺がこうして止まっているうちに点差は開いていくばかり。


試合開始から4分、4対16という圧倒的な差をつけられて俺達は負けていた。