綺麗な涙だった。気がついたら涙が零れ落ちていた、という表現の仕方がしっくりくるだろう。
何か癇に触るようなことを言ってしまったか。
慌てふためいてソワソワするけれど、彼は「…ちょっと感動して…しまってね」それだけを添えてハンカチで涙を拭った。
「いい子だねえ」
「…いや、その…」
「本当に……、」
「…そんなこと…ないです」
移りゆく景色を眺めていたハルナさんは、そんな私たちを無言で眺めていた。
このボックス席だけ他とは異質であった。旅に思いを馳せて話に花を咲かせている乗客たちの中で、ここだけが涙で染まる。
『東武金崎〜東武金崎〜』
しっとりと泣いているおじさんにどう応対したらいいか困惑していると、"合戦場(かっせんば)駅""家中(いえなか)駅"に続いて電車が停車する。
